〔自由広場〕 「竹の子医者」の日々
星 康夫(東京都世田谷区)
私は医者です。専門は外科ですが,開業してからは自分の知識の範囲内で,出来るだけ多くの患者さんを診察する様にしています。「ヤプ医者」ではありません。「竹の子医者」です。「何だ,それは?」と思われるでしょう。説明します。私の家は代々女系家族で,曾祖母は呉服屋の跡取り娘。名前は「松枝」。嫁に来た祖母は「梅」。そして生まれ生まれて来た3姉妹の長女が私の母「竹」です。“松の根元に梅の木植えて どんな竹の子生えるやら”と言われたそうです。その「竹の息子」なので,私は「竹の子医者」なのです。その「竹の子医者」の日々の一端を,今回述べてみようと思います。次の章に移る前にもう一つ余談を。前述の母「竹」の2人の妹の名前は「鶴」「亀」です。松竹梅鶴亀,本当の話です。戸籍も間違いありません。
「表通りをハイカラさんが通る」昔風に書くと,こんな風情か。最近私の診療所の表通りを毎日大柄な2人の女性が通ります。カッカッとハイヒールの音をひびかせながら,時は夕暮6時半,ご出勤です。その歩く姿は「大和撫子」というよりは「超ド級の戦艦大和」です。これだけからはお分かりにくいかもしれませんが去年のミス・インターナショナル・クィーンで優勝し,最近はテレビでよく見かけるHさんという女(男)性がいますね。そうです,2人はそのHさんと同じ新人類「ニューハーフ」です。そのお2人が私の診療所に現れました。「今日はどうしましたか?」といつもの様に話しかけて,診療を開始しました。身長は180皿,豊満なバストを揺らしながら,「先生,おしっこが近くて,その後で痛いんです」と,男性そのものの太い声で訴えます。カルテで確認すると性別は男性です。「そうですか。いつからですか。お熱はありませんでしたか。背中は痛くありませんか。オチンチンの先から膿(うみ)の様なものは出ませんでしたか」しばらく時間が経ってから返事が返ってきました。「熱
はありません。でも……あの……,私オチンチン無いんです」なる程そういう事でしたかと納得し,尿の検査用コップを渡しました。その結果をみて薬を処方し,診療を終えました。今反省しています,「局所をしっかりと観察して診療しなかったのは何故だ。俺は気弱なヤブ医者か」と。数か月後に再び診療所に来ました。今度はノドが痛い,風邪気味であると。「ハイ,アーンとお口を開けてください」今度はしっかりと局所を観察しました。立派なノドチンコがあり,真っ赤に腫れていました。
まだ大学病院に在籍していた時,看護専門学校の講師として,週に1度講義をしていました。期末には試験があります。その問題を2題ご紹介しましょう。
O「胆石症の3Fとは何か」
医学関係では「〜の三徴」とか「〜の5主徴」とか称されるものが多くあります。この問題の3Fとは,?Female(女性) ?Fatty(肥満) ?Fifty−Forty(40〜50代の年齢)です。私の講義では次の様に教えました。上品に言えば「中年の小肥りの女性」。でもこれでは面白くありません。「中年,デブ,オバン」と教えました。今ならセクハラだと叱られるでしょうか。解答は???を記述して欲しかったのですが,少数派でした。「中年,デブ,オバン」勿論満点をつけました。
O「女性は何故男性よりも尿路感染症になりやすいのか」
すばらしい「迷答」が出ました。「湿っているから」と。私も悩みましたが,正解とはしませんでした。正解は,「女性は男性と比べて尿道ロと肛門が近いから」です。女性は小さい時に母親から「お尻は前から後ろにお拭きなさい」と教えられた方も多いのではないでしょうか。しかし今はウオッシュレットが普及し,状況は変わりました。
最後に男の子の話もしましょう。
お隣りの坊や,1年生,なかなかの「やんちゃ坊主」で「元気者」。先日,お母さんが先生に呼び出されました。お友達のオチンチンにセロテープをぐるぐる巻きにしてしまったのだそうです。帰宅後「そんなことをしてはいけませんヨ」と,叱っていたら急に「オチンチンが痛い,痛い」と言い始めたそうです。見てみるとオチンチンが真っ赤に腫れていました。友達に巻きつけたテープの接着剤がついたままの手でトイレに行ったので,自分のオチンチンに接着剤がついてしまったのです。そんなイタズラをするからバチがあたったんだよ。カユミ止めの軟膏を塗っておさまったそうです。翌日,学校で先輩の6年生の兄貴分に「オチンチンが腫れて痛くなったんだ」と報告したそうです。そうしたら,その先輩は次の様に真面目に教えてくれたそうです。「あのな,男というものはその様にオチンチンが大きくなるものなんだ」と。確かにその通りなのですが……。それはちょっと意味が遵うんですよ。
星 康夫(東京都世田谷区)
私は医者です。専門は外科ですが,開業してからは自分の知識の範囲内で,出来るだけ多くの患者さんを診察する様にしています。「ヤプ医者」ではありません。「竹の子医者」です。「何だ,それは?」と思われるでしょう。説明します。私の家は代々女系家族で,曾祖母は呉服屋の跡取り娘。名前は「松枝」。嫁に来た祖母は「梅」。そして生まれ生まれて来た3姉妹の長女が私の母「竹」です。“松の根元に梅の木植えて どんな竹の子生えるやら”と言われたそうです。その「竹の息子」なので,私は「竹の子医者」なのです。その「竹の子医者」の日々の一端を,今回述べてみようと思います。次の章に移る前にもう一つ余談を。前述の母「竹」の2人の妹の名前は「鶴」「亀」です。松竹梅鶴亀,本当の話です。戸籍も間違いありません。
「表通りをハイカラさんが通る」昔風に書くと,こんな風情か。最近私の診療所の表通りを毎日大柄な2人の女性が通ります。カッカッとハイヒールの音をひびかせながら,時は夕暮6時半,ご出勤です。その歩く姿は「大和撫子」というよりは「超ド級の戦艦大和」です。これだけからはお分かりにくいかもしれませんが去年のミス・インターナショナル・クィーンで優勝し,最近はテレビでよく見かけるHさんという女(男)性がいますね。そうです,2人はそのHさんと同じ新人類「ニューハーフ」です。そのお2人が私の診療所に現れました。「今日はどうしましたか?」といつもの様に話しかけて,診療を開始しました。身長は180皿,豊満なバストを揺らしながら,「先生,おしっこが近くて,その後で痛いんです」と,男性そのものの太い声で訴えます。カルテで確認すると性別は男性です。「そうですか。いつからですか。お熱はありませんでしたか。背中は痛くありませんか。オチンチンの先から膿(うみ)の様なものは出ませんでしたか」しばらく時間が経ってから返事が返ってきました。「熱
はありません。でも……あの……,私オチンチン無いんです」なる程そういう事でしたかと納得し,尿の検査用コップを渡しました。その結果をみて薬を処方し,診療を終えました。今反省しています,「局所をしっかりと観察して診療しなかったのは何故だ。俺は気弱なヤブ医者か」と。数か月後に再び診療所に来ました。今度はノドが痛い,風邪気味であると。「ハイ,アーンとお口を開けてください」今度はしっかりと局所を観察しました。立派なノドチンコがあり,真っ赤に腫れていました。
まだ大学病院に在籍していた時,看護専門学校の講師として,週に1度講義をしていました。期末には試験があります。その問題を2題ご紹介しましょう。
O「胆石症の3Fとは何か」
医学関係では「〜の三徴」とか「〜の5主徴」とか称されるものが多くあります。この問題の3Fとは,?Female(女性) ?Fatty(肥満) ?Fifty−Forty(40〜50代の年齢)です。私の講義では次の様に教えました。上品に言えば「中年の小肥りの女性」。でもこれでは面白くありません。「中年,デブ,オバン」と教えました。今ならセクハラだと叱られるでしょうか。解答は???を記述して欲しかったのですが,少数派でした。「中年,デブ,オバン」勿論満点をつけました。
O「女性は何故男性よりも尿路感染症になりやすいのか」
すばらしい「迷答」が出ました。「湿っているから」と。私も悩みましたが,正解とはしませんでした。正解は,「女性は男性と比べて尿道ロと肛門が近いから」です。女性は小さい時に母親から「お尻は前から後ろにお拭きなさい」と教えられた方も多いのではないでしょうか。しかし今はウオッシュレットが普及し,状況は変わりました。
最後に男の子の話もしましょう。
お隣りの坊や,1年生,なかなかの「やんちゃ坊主」で「元気者」。先日,お母さんが先生に呼び出されました。お友達のオチンチンにセロテープをぐるぐる巻きにしてしまったのだそうです。帰宅後「そんなことをしてはいけませんヨ」と,叱っていたら急に「オチンチンが痛い,痛い」と言い始めたそうです。見てみるとオチンチンが真っ赤に腫れていました。友達に巻きつけたテープの接着剤がついたままの手でトイレに行ったので,自分のオチンチンに接着剤がついてしまったのです。そんなイタズラをするからバチがあたったんだよ。カユミ止めの軟膏を塗っておさまったそうです。翌日,学校で先輩の6年生の兄貴分に「オチンチンが腫れて痛くなったんだ」と報告したそうです。そうしたら,その先輩は次の様に真面目に教えてくれたそうです。「あのな,男というものはその様にオチンチンが大きくなるものなんだ」と。確かにその通りなのですが……。それはちょっと意味が遵うんですよ。
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