有限会社 三九出版 - 《自由広場》 きれいな文字で文章を


















トップ  >  本物語  >  《自由広場》 きれいな文字で文章を
          きれいな文字で文章を

           山下 定利(千葉県千葉市)

 掲題の,ちょっとこれまでの教本とは違うアイデアが,年寄り仲間にうけている。とっつき易いこと,習字(練習)をくり返しても飽きにくいことなどから上達が速いとの評である。
 仲間の話を紹介すると,「書風は年齢を経るにつれて衰える。」「きれいな字を書いた時代のピークは,中学生の頃であったかもしれない。」「ワープロの出現で下手な字も隠せるようになり,字の衰えに拍車が,かかった気がする。」「書風の衰弱は,定年を境に著しい。他人に見られる緊張感が薄れたせいか?」等々である。
 この傾向は,私にも例外ではなく,「書き方」に手入れ,メンテナンスの必要を感じている。
 文字はコミュニケーションの大切な道具である。心地よい文字から成る文章を届けることに努力したいものだ。
 私の提案は誠に簡単である。『まず,ひらがな習字に集中しよう』である。
 この提案理由の第一は,文章の中の文字数を拾い分けると,「ひらがな」が70~80%を占めるからである。言いかえると,「ひらがな」をきれいに書くことができれば,文章の体裁は様変わりする理屈である。そのサンプルをつくってみた。くせが強い字の「ひらがな」部分のみを,私の手習い文字に置きかえてみた。効果のほどを眺めていただきたい。(次ページの図参照)
第二の提案理由は,「ひらがな」の文字数が48個と少ないこと。そして大事なことだが,「いろは歌」があることに注目した。これが,くり返しの練習(習字)で起こる飽き,を緩和すると思うのである。凡そ各種のエクササイズが永続きしないのは,この飽きで,練習の頻度が落ちるからとみる。「ひらがな」も,「いろは歌」で,意味を持つ48文字になると,習字は無味乾燥をくり返すことではなくなるだろう。「ひらがな」の見本は,書店で「ペン習字」の手本をもとめる。
 それでは,文章の20~30%を占める漢字はどうするか。私の提案は「般若心経」の写経(習字)である。理由は,300字足らずの詩(と思っている)で,これが「いろは歌」と同様に,くり返しの練習(習字)を飽きさせない。勿論この御経の文字群が,膨大な漢字を代表するというわけではないが,写経のドリルに見る文字は誠に美しく,魅了される。習字は眺めることも大切だと知る。手本は書店で探していただきたい。
 漢字の習字について,文学部4年生・男子の孫に意見を問うと,「漢字の部首に注目されよ」と。たとえば部首の「ヘン」では,にんべん・きへん・ごんべん・しめすへん・こざとへん……等。この他「つくり・かんむり・……」に気配りをと。蛇足ながら,孫は小学生時に,硬筆の部で,千葉市の教育長賞を受賞している。「その後,作字に気を使っているのか」を問うと,「成長しているよ」との返事であった。
投票数:4 平均点:10.00
前
《自由広場》 With Corona…
カテゴリートップ
本物語
次
《自由広場》量子に学ぶ経済の考え方 ① 「量子」-「人間」―「経済」

ログイン


ユーザー名:


パスワード:





パスワード紛失