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             忘れないために


              三九出版

○「エビングハウスの忘却曲線」 (ヘルマン・エビングハウス/ 19世紀のドイツの心理学者)によりますと人間は学習した直後の記憶を100とすると 2分後には58%,1日後には74%忘れるそうです。 21世紀の今,この説には,エビングハウスの研究のしかたやその結果の解釈のしかたには疑問,異議が唱えられているそうです。しかし〝人間は忘れる動物である〟ということは万人が認めるところでしょう。・そこで人間は,どうすれば忘れないようにできるかを工夫します。 例えば指に紐を巻いたり,明治維新が起きた年を「いや緑波(ろっぱ)(一八六八)さん、維新だよ」と語呂合わせして覚えたり,メモをしたり,という具合にですね。しかし,紐を見て「これ,何だっけ?」となってしまったり,語呂合わせそのものを忘れてしまったりと,時間が経ったり,年齢が嵩んだりすると大部分のことは忘れてしまいます。やっぱりメモをとる(書き残す)ことがいちばん良い方法であると言えるようです。 書き残しさえすれば後で読んで確認したり,思い出したりして,今後のことに活かすこともできるわけですから。
・東日本大震災。あの悲惨さは,被災された方々は言うまでもなく,被災されなかった人々も,震災後何年かは「忘れることができない」ものと思っておりました。ところが被災後十年を迎えるこのごろ,人々の意識の中ではずいぶん薄れてきているように感じられます。被災状況,国や地方自治体等の支援,ボランティア活動,国内外からの物的,心的支援等々,忘れてはいけないことが沢山あるはずなのに…。こうした意識の希薄化は,その後も大きな自然災害が何度も起こっているためかもしれませんが…,やはり〝忘れる動物〟の性(さが)なのでしょう。
・小誌で連載中の「東日本大震災」コーナーは,被災の状況・悲惨さ,被災者を救うべく行動された人々の心の温かさ,減災の備え,等を書き残していただくために設けたものです。ぜひご寄稿くださいますようお願い致します。   (ⅿ)
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