有限会社 三九出版 - シニアの「見る」「聞く」「言う」は八分目に


















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☆〔新作●現代ことわざ〕 

        シニアの「見る」「聞く」「言う」は八分目に 

             鈴木 俊英(神奈川県相模原市) 

私は現役を引退して8年になる。地域の人達との交流も広がり,コミュニケーションもとれてきた。元気に日々過ごせることに感謝している。そんなシニアの集まりの中でも今の若者の価値観にはついていけないという話題がたびたび出てくる。
先日,中学生の孫娘が来て,タブレットを扱いながらWi-Hiの接続ができないと訊いてきた。孫娘はマンション住まいなので家では“環境”が整っている。私は戸建てに住んでいてnetは有線でつないでいる。もう中学生なので基本を教えておいた方が良いかと思い,「netのつなぎ方には2通りあって,ひとつは無線,もうひとつは有線で…」と説明を始めると,「それって通じないということ!」と私の話を遮るように言葉が返ってきた。つまり,今の若者は論理がどうであれ,どのボタンを押せば機能するのか,論理性を求めるよりも結果を優先することに合理性をみているのである。
私たちシニアには皆一様に厳しい人生を乗り切ってきたという自負があり,そのプライドの上に立って周囲を見るときに,一言云いたくなるのは当然と言えるかも知れない。しかし,それを思いのままに若者に押しつけると若者には違和感が生じる。IT機器を巧みに活用したビジネス対応まで,現代のスピード感にシニアはついていけない距離感があるのも現実である。そこにシニアが自分の価値観を主張すると違和感が生ずる。現役を引退したというからには,彼らの行動に少し距離を置いてみることも必要だと思う。若い人達の価値観を尊重し,自らの主張を八分目くらいに置こうとの考えである。
シニアが細かいところまで見えるとついつい一言云いたくなる。また若い人の大胆な行動を見ているとそこで一言云いたくなるのもシニアの常であろう。そこを八分目で抑える。あまり自己主張せずひと呼吸置いて,自己整理をしたうえでものを言う。そんなところに自分の立ち位置を置いておく。それが実践できれば周囲からも可愛いおじいちゃん,おばあちゃんでいられるのではないか。そして自分の趣味を楽しむ,そこに力点を置く人生の方がより楽しい人生になるのではないだろうか。これからはシニアが増え,2025年には介護難民が43万人に達するという。少なくとも元気な人達がみんなニコニコして可愛いシニアになれたら明るい未来が期待できると思う。 
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