有限会社 三九出版 - 知ったかぶりインフォメーション


















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☆《自由広場》

          知ったかぶりインフォメーション

             山下 定利(千葉県千葉市)

 このタイトルは,わが孫に送る「FAX通信シリーズ」の共通の表題である。約5年間,月に1,2回の割りで発信し続けた。昨年その2人の孫が高校生になったこともあり,下記の通信を区切りに,自然消滅させることにした。
          〈 知ったかぶりインフォメーション 〉
              「エイプリルフール」
90歳を超えると,頭の回転が鈍くなって,面白いシナリオが浮かびません。
それで今年は休み。今日一日,騙されないように注意しよう。

これを読んだ孫の一家は,「ついにジイさんも弱り目か」と,一旦は結論づけたらしいが,高一の孫娘は,わが陰謀を見破ったのであった。「10歳嵩上げしているよ!」と。
こんな調子で書き送った,シャイな片思いのFAX通信,次のサブタイトル(一部)で概観していただくとしよう。
○コンビニ駐車場でペンギンを捕まえたよ!(ペンギンの逃走がニュースになっていた時で,エイプリルフールの材料にした。)
○稲荷神社とキツネの関係。
○罫線を均等に分割して引く簡単な方法。
○1円硬貨,1個の重量を調理用の秤で測定する方法を考えよう。(秤の最小目盛は10g)
○ジャンケンに勝つ法。  ○彼岸花。  ○光の害について。  ○名探偵コナン。
○なりきりジャニーズ。(あおい輝彦とジャニーズの誕生。)
○少年の夢。(わが少年時代を語って孫を惑わせ,エイプリルフールに結びつけた。)
○「コーチ,コーチャー」の語源がわかったよ。
○ウィーンの「ニューイヤーコンサート」(会場いっぱいの,有名な花飾りを指揮する日本人女性。)
これらのテーマは,思いつきで衝動的,発信の間隔も気ままであった。

孫は成長につれて,ジジババから足が遠のく,は世のならい。それが,わが身でも現実となった。孫の住まいは,車で30分程の距離だが,会うのは今や年に2,3回に凋んでしまった。それでも,こちらから押しかけることはしない。
ジジイは,この傾向を前もって鋭く?用心深く予測して,孫との繋がりを保ち続けたいとの,ケチで切ない願望から,片思い通信を始めたのであった。通信にFAXを選んだのは,一方通行であるのがよく,手紙ほど構えないで済むからである。
電話でもよいのでは?と言われそうだが,それでは味気なさそうに思い込んだ。孫はその兄妹二人だから,均等に連絡をとるのは難しい。また見えない相手の不機嫌さなどが窺えると,オロオロしてしまい(生来気弱なのである。),調子に乗ると饒舌になったり,教訓を垂れそうになるなど,結局は会話の焦点がボケてしまうことを心配したのである。とか何とか言うも,FAXに決めたのは,実は文章で痕跡を残したいとの,いじましい下心があったからである。
わが片思い通信は,次を心掛けた。
⑴内容は何でもよく,拘らない。
⑵文章は,いきなり本題に入るようにする。(この方法が,シリーズを長続きさせる秘訣だと思うようになった。)
⑶内容は明るく。
⑷お説教は避ける。
⑸発信の間隔はテキトーにする。
ときには,脱線もお勧めしたい。その一例を紹介しよう。
「いま月食がすごいよ! 月が欠けるスピードが,予想以上に速いので驚いています。今こちらで見ている月の形を描いて送ります。」この時,左欠けの月を,わざと右欠けに描いて,FAXしたのである。これは,孫に電話をかけさせるトラップであった。この仕掛けに,小学生の孫は見事にひっかかり,「ジジイの目はおかしいよ!」と。つまり,反抗期に入らんとしていた孫に,電話をかけさせることに成功したわけである。

高校生になった孫の二人に,今後どのように接していくか,只今は成り行きだが,新手を出すべきかと,思案中である


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