有限会社 三九出版 - 「会話」は案ずるより産むが易し


















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☆〔新作●現代ことわざ〕

          「会話」は案ずるより産むが易し

           原田 健作(神奈川県秦野市)

現代の若者は根っからのメール世代で,情報通でもある。会話するよりもメールという人も多く,子供時代に外で遊ぶ機会も少なかったためツールを使わないコミュニケーションが苦手で,人と直接話をすることを苦痛と感じている若者も多い。今,自立できない若者が増えていて,「就職したくてもできない若者」「結婚したくてもできない若者」「子どもを産みたくても家族の協力を得られない妻」などの問題が顕在化している。学力不足や条件が折り合わなかったりで,就労や結婚から見放されている場合は,ある程度やむを得ないとも言えるが,直接会話によるコミュニケーション力のなさが自立を妨げ,就労や結婚からドロップアウトしてしまっているケースもあるようで,勿体ない話だ。 私自身も若い時は人間関係に悩み,ストレスのためにうつ病になる恐怖と戦い,退職を考えることもあった。それを乗り越えられたのは自分に合った仕事のスタイルを見つけることができたからだ。そしてそれは先輩,同僚との会話によるコミュニケーションをよくとることに心掛けたのでできたものと思っている。
 直接話をするコミュニケーションをといっても最初はそう簡単にはいかなかった。しかし仕事を始めたからには途中で投げ出せない。どんな仕事に就いても目の前の仕事をこなさない限り前には進めない。とにかく周囲との会話に努めつつ前向きに仕事に取り組んだ。そうするといろいろ考える。それが創意工夫につながる。
言うまでもなく,仕事を着実にこなしていくには営業でも事務職でも自分のことをきちんと相手に伝え,相手のことを正確に知ることが大事であり,そのためにはコミュニケーション,中でも会話によるそれは不可欠である。元来,人間は会話を通して親しくなれるし信頼を得ることができるもので,会話によるコミュニケーションのプロセスを踏まえなければ人間関係は築けないし仕事もきちんと回らないのである。
若者たちにコミュニケーション力がないわけではない。“会話”に慣れていないだけである。若者よ,人に出会ったらまず挨拶してみよう。人から挨拶される前に挨拶する。それをきっかけに会話ができることが多いのだ。会話ができたらそれを習慣化しよう。「案ずるより産むが易し」である。違和感を感じるのは最初のうちだけ。苦しい時期を乗り切れば世界は変わる。就労,結婚の展望も開けるというものだ。 
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