有限会社 三九出版 - イタリア・ボロ-ニアでの欧州超音波医学連合大会


















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☆mini ミニ JIBUNSHI

              ☆超音波医学国際会議出席異聞(17)
         イタリア・ボロ-ニアでの欧州超音波医学連合大会

           和賀井 敏夫(神奈川県川崎市)

1978年初め,イタリア・ボローニアで開催される第3回欧州超音波医学連合大会のアルビシ会長より招待講演の依頼が来た。私はこの機会に,明年,私が会長として開催する世界超音波医学連合日本大会の欧州での宣伝勧誘に絶好の機会と考え,10数名の日本会員とともに出席することにした。
9月29日夜,成田空港発。翌30日午後,コペンハーゲン空港経由でイタリアのミラノ空港に到着した。ここからボローニアまで日本グループ専用のバスで赴いた。ボローニア到着後,取りあえず会議場に行き,皆さんと一緒に参加登録を行い,その後予約のインターナショナルホテルに入った。そこは旧市街の中心部で中世の雰囲気を残している地域の一角にある素晴らしいホテルだった。早速,家内と一緒に夕食を兼ね町を散歩した。古い伝統のある町並みと,世界で最も長いといわれるアーケードの歩道には感心した。レストランで本場のイタリア料理のスパゲッテイを堪能した。
10月1日,第3回欧州超音波医学連合大会が開始された。ロビーで今大会の役員である旧知のレビー医師(ベルギー)に会い,私は世界連合会長の立場で開会式の壇上中央の席に案内された。開会式には約500名が出席した。簡素な開会式終了後,世界各国代表がアルビシ大会会長主催の昼食会に招待された。会場玄関前からバスで出発,まずアルキジナージオ宮殿を訪問。中世の立派な宮殿で現在は図書館となっていた。ここで世界最初の解剖教室を見たのは感激だった。その後,郊外の丘のきれいなレストランに到着,庭園でのバイキング式の昼食会に招待された。アルビシ会長夫妻が,皆さんの席を回り一生懸命サービスしていたのには感心した。昼食後,学会会場に戻るバスの車内で,私の今夏の中国訪問が大変な話題となった。中国の現状に関し,多くの町でも餓死者や行き倒れが全く見られなかったという私の話には,皆さん信じられないと驚いていた。 これが当時の欧州の中国に対する理解度だったのには驚かされた。夕刻7時半より,家内と一緒にカールトンホテルでの会員歓迎カクテルパーティに出席した。そこで前述のレビー医師と会い,彼は明日の私の出番である「乳癌の超音波診断」のワークショップの司会とのことで, その進行の打ち合わせをいろいろ行った。
会議の2日目,今日は朝より嫌な雨だった。午前の「乳癌の超音波診断」のワークショップには私を含め3名の演者が出席した。司会のレビー医師との昨夜の打ち合わせに従い,事前に用意した幾つかの質問について,演者に質問しながら討論中心に会議を進めたので,教育的にも有効で評判が良かった。夜9時より,素晴らしい大聖堂での学会主催のオルガンコンサートに招待された。大聖堂会場入口で,アルビシ会長夫妻の歓迎を受けた。その後,ホテルカールトンでの世界超音波医学連合役員会に出席,12時近くまでかかったのにはさすがに疲れた。
会議3日目,朝8時,家内は会議主催のベネチア観光ツアーに列車で出発して行った。私は明年の世界超音波医学連合日本大会宣伝,勧誘のための「ジャパンナイト―日本の夕―」の会場になるホテルを下見,ホテル側といろいろパーティの打ち合わせを行った。
会議4日目,午前9時,「胆石の超音波診断」のセッションの司会,午前10時半,私の「乳癌の超音波診断」の招待講演,午後2時半より,私の「甲状腺の超音波診断」の発表と,今日は一日中,発表や司会で大忙しだった。夕刻,家内が観光から戻り,早速和服に着替え,「ジャパンナイト」が行われるホテルに早目に行った。このジャパンナイトは,明年日本で開催される世界超音波医学連合日本大会の宣伝,勧誘という今回の会議参加の最も重要な課題だった。会場入口では,私夫妻や日本グループ幹部が出席の皆さんを歓迎した。予想をはるかに超える200名以上の参加者になったことは,嬉しい悲鳴でもあった。ディナーは豪華な欧州風のバイキング式とした。食事が終わった頃, 日本紹介の風景や伝統芸能を紹介する映画を上映した。 参加者は皆さん, 熱心に見てくれたのは嬉しかった。 ジャパンナイトの大成功にほっとした気分で,夜12時近くホテルに帰った。
会議5日目,長かった大会もやっと最終日を迎えた。午前8時より私の最後の「膵臓の超音波診断」の発表を行った。その後,家内と一緒に初めて会議を抜け出し,市内観光や買い物に町の中心部を訪れた。有名なマッジョウレ広場を見学,中世の雰囲気が残っている豪壮な建物やネプチューン像に感心,さらに街中にボローニア特有の高い斜塔が多く見られたのは不思議な光景だった。
午後4時より閉会式に出席した。その閉会式の間に,今回の超多忙な日程のため市内観光すら満足にできなかった会議を振り返りながら,明年の世界連合日本大会への欧州からの多くの参加の明るい見通しが得られたという大収穫を思っていた。 


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