有限会社 三九出版

定年後の生活と準備
−老後のユートピア生活は可能か−
青江　由紀夫（千葉県干葉市）

1．ある男性の例から
（1）平均寿命に近い80歳まで。ここまでは身体の健康を維持して生きると仮定する。妻も健康。（2）第二の勤務はしないものとする。（3）妻は専業主婦。（4）子供二人は大学を卒業して各々就職できていることを前提とする。学資や資金援助は不要とする。（5）父母，義父母の扶養，介護を覚悟しておく。（6）住宅などのローンは皆無とする。マンションないし一戸建住宅は自己所有で貸借料の支払いの必要なし。（7）子供や孫には，老後の世話や援助を期待しない。
例えば，以上のような条件を設定して，20歳代ないし30歳代から老後をイメージして計画し，準備すること。様々なケースをイメージして楽しむ。こうなると，（イ）例えば，結婚は30歳までにする。（ロ）第一子は31歳で，第二子は35歳までにもうける。（ハ）65歳の定年の時には，第一子は34歳，第二子は30歳以上。
公務員，大企業のサラリーマン。医師，歯科医師，弁護士，公認会計士，税理士，司法書士など。特殊な技能・資格で生活の不安の少ない職業につく子供に成長するように教育をする。小説家，詩人，作詞作曲家，青菜の演奏家，プロスポーツ選手，タレント，などの極めて特殊な道は子供に選ばせない。二流，三流大学・大学院から大学教授への道も選ばせない。オーバー・ドクターとなり，安定的な月給のある専任の教授になれる可能性は極めて少ない場合が多いから。
子供が息子の場合は，家庭教育のできない心配のある女性とは可能な限り結婚しないように忠告助言する。彼女の母親や伯叔母，祖父母までよく調査することも助言。競争馬やペットの犬ですら血統が大切にされることを教えておく。
ただし，自分の理想通りには，進行しないのは子供の教育でもよくあることと心得ておく。その時はそれなりの対策を考える。
２．55歳ごろから老後の準備。
（1）年金，退職金。そして総資金の点検。……65歳の定年時の年金は1か月あたり20万円か25万円か。あるいは30万円かと調べておく。年金のほかに，収入として，株式，投資信託各種保険，マンションなどの不動産収入，預貯金の総額。住宅の土地建物の売却時価なども，ノートに記入してみる。（2）理想的な老後の生活とその費用は。……（イ）家計簿（金銭出納帳）の記入と毎月の必要経費を老後の生活と併せて想定してみる。年金と退職金で80歳までの15年間と妻のその後85歳までの５年間の生活費用に不足はないのか否か。（ロ）いろいろと仮定して計算してみる。（3）定年離婚の不安はあるのか否か。……（イ）毎日狭い象の中で妻と一緒に生活してもお互いにストレスはたまらないのか否か。土曜日，日曜日の休日には，妻の生活スタイルやパターンをよくよく観察。夫の自分と一緒に毎日生活して不満のない毎日の妻とするには，如何にするのか。さらに，この夫と毎日朝昼晩の食事を共にすることが，こんなにも楽しかったのかと，妻が心から満足する毎日の生活には，如何なることが必要かと考えてみる。いろいろと仮定して，イメージ・トレーニングをくり返してみる。（ロ）子供の代りに犬や猫を飼育して，妻と交互に犬と散歩するか。犬と一緒に二人で仲良く散歩できる毎日とできるか。（ハ）毎朝弁当を持参して，公立の図書館に通って，読書と何かの研究に打ち込めるか。スポーツ・ジムに毎日通うのか。これと図書館通いを交互に上手に利用できるのか。これもイメージ・トレーニングする。妻にゴルフを教えて一緒にゴルフに週１回ないし，月に２回は出かけて楽しめるのか。海外旅行，国内旅行を1年に幾度かするとして，資金に不足はないのか。妻は喜んでついてくるのか。（ニ）妻の好きなフラダンスや社交ダンスの教室に一緒に通って楽しく踊る勇気と実行力はあるのか否か。などなどのイメージ・トレーニングをする。心の準備から始めてみる。（ホ）それらのこと以前に，毎朝の食事の時の会話をお互いに楽しくできるのか否か。妻に何を質問すると喜ばれるのか。妻の多弁を忍耐し，喜んだふりをして拝聴できるのか否か。これをどうするか。
近所や町内会での交際をどうするのか，都合のいい趣味は習得できているのか否か，65歳までに準備すること，など，10年間準備。
祖父母，父母や伯父，叔母各々の夫婦の老後の生活の仕方や問題点を常日頃から注意深く観察し，参考事例とする。自分たちのケースを想定し，様々に変化させてイメージトレーニングや準備をしておく。これを楽しんで行う習慣をも習得しておくこと。