有限会社 三九出版 - 親の躾は国をも救う


















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〔新作●現代ことわざ〕
                親の躾は国をも救う


                           
                     川村 昭二郎(滋賀県彦根市)

 私は昭和23年,戦後の物資不足の時期に小学校に入学しました。近所の悪ガキとイチゴを盗んだり,桃を盗んだりして腹の足しにしておりました。入学直前に悪ガキにそそのかされて,近くの文房具店に行き,色鉛筆1本を万引きして筆入れに入れておきました。それを姉が発見して母に告げ,母からはきつく詰問されたのですが,私は例の悪ガキからもらったと嘘をついたのです。しかし,夜になって母が悪ガキに確認をして事実を父に告げたものですから,父は激怒し,即刻私を文房具店に連れて行き,お詫びの会見となったのです。盗み、嘘つき、そして親に恥をかかせてしまい,本当に悪いことをしてしまったと思い,身に染みて辛く感じました。それ以来,悪ガキに誘われても行かない,誰かがやっていたら注意するように心に誓いました。
 その後日,兄と悪ガキ数人とがスポーツ店で野球道具を盗んで秘密基地に隠しているのを先生に暴露。一味全員親とともに学校できつく叱られました。お陰様で私は1年間仲間外れになってしまいましたが,正しい事を堂々とする事で彼らを悪事から目覚めさせたので,私はみんなから褒められる価値あることをしたと思いました。
 私が父親となってもその時の父の思い出が強烈によみがえり,父の「汝盗むなかれ」「欲しかったら自分で稼いで買え」という教訓が子育ての方針として根付いています。
 私は定年退職後,ハローワークへ5年ほど雇っていただき,当管内の課題ある生徒十人ほどの就職活動の支援を2年ほど体験しましたが,課題生徒のほとんどが親の離婚家庭でした。十分な親の愛が勉学力あるいは道徳力に影響している事態に驚きを隠せません。「子どもの躾は親の責任!」と強く思う次第です。
 「薬屋の実験結果の故意による変更」「研究者のニセ論文」「音楽家の麻薬」「金メダル柔道家の性犯罪」等がマスコミを賑わせている昨今,この国の道徳性は崩壊に近づいているように感じます。このような事態を救うのは「祖父母」「父母」による道徳性に沿った躾であると思っています。そしてそこに求められるのはこれら「親達」の高い道徳性であり,その実践であり,それらがあの「自由過ぎる国のローマ帝国の滅亡」と同様の事態をこの国に招かないようにし,この国を救うための必要不可欠のものと思います。




 
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