有限会社 三九出版 - 麗 し の 十 年


















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                 麗 し の 十 年

                           原田 健作(神奈川県秦野市)

 人生80年と言うが,80代にもなると男性も女性も,余程筋金入り(頭も体も)の人間でない限り,寄る年波には勝てない。体力と気力を保持しながら知的活動を行えるのは70代までというのが現実のようだ。概して60代は男女ともに活動的なのに70代になると女性の元気の良さばかりが目に付き,男性は影が薄いように思えてならない。これは仕事からのリタイヤーと大いに関係がありそうだ。生涯現役で働き続ける人もいるが,大部分の人は通常60〜65歳で仕事から退き,年金生活に入る。会社をリタイヤーすると同時に社会からもリタイヤーしてしまう人が少なくない。当人にはそういう意識はなく充電中だと思っているかもしれないが,外に出ないで家でじっとしていると,使われなくなった能力は退化し,通勤で鍛えられた足腰の筋力は衰えていき,坂道を転がるように老け込んで,70歳になる頃には立派な老人が出来上がってしまう。リタイヤー時から80歳まで最低でも15年はある。この15年を多くの人がなかなかうまく生きられないでいる。これはリタイヤー後に何をするか決まっておらず,リタイヤーしてから決めようとするところに無理があるのだ。リタイヤー後に自分で自分を律するのは案外難しく,ぐずぐずしているとすぐ4〜5年経ち,70代になってもすることがわからない(生き甲斐探しが終わらない)状態になってしまう。
 70代は人生の総仕上げ期で,自分の人生がほぼ確定する時期だろう。『終わりよければ全てよし』,人生の終盤を実りあるものにするには,リタイヤー後の第二の人生を速やかに目標軌道に乗せること,これに尽きると思う。生き甲斐探しは現役のサラリーマン時代に終え,リタイヤー後は,ためらわずそれに向かって進むことだ。 『麗しの10年』の生き方はいろいろな選択肢があって良いだろう。人生最後の輝けるチャンスである。仕事,趣味,学習,ボランティア活動等何をやっても構わないが,よりよく自分を活かせるものに挑戦していけばよい。いずれにしても知的好奇心を持つこと,健康であること,社会と繋がっていることが大切だ。そのためには毎日,外に出るべきである。家にいて何かをやろうとしても体を動かすのが億劫だし,自分に甘くなってしまう。三日坊主にもなり易い。外へ出て,外からの刺激を五感で感じるようにしたい。勿論、外へ行くには自分自身の足をしっかり使ってよく歩くことだ。70代の一人ひとりが自立し,輝いていれば社会に与えるインパクトは大きく,後に続く後輩たちは目を見張って見守るだろう。

 
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