有限会社 三九出版 - 当てにされる人間を続ける


















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                 当てにされる人間を続ける

                           佐藤 辰夫(東京都青梅市)

 1940年生まれの小生は今年で73歳となる。お蔭様にて身体は健全で,一昨年,昨年と東京マラソンに出場,いずれも5時間半ほどで完走できた。今年もエントリー済みで,4時間台での完走を目指している。これは今の自分にとって自慢できることと思っている。
 仕事の面においては63歳にして医療法人を立ち上げ,爾来10年を経過した今日,病院並びに診療所を運営し,その管理面を担当する職にあり,当分はこの職を全うし,当てにされる存在を継続することが使命であると思っている。身体的に異常をきたさない限り続ける積りであり,日常の運営上の詳細に関しては委譲してゆくこととしても,最終決断はこれから20年ほどは維持してゆくことが出来るのではないかと目論んでいる。
 自分でこの健康が維持できるのは,趣味を多く持つことが起因していると思っている。先ず第一は茶道である。裏千家茶道で,学生時代から数えて(途中抜けた期間もあるが)約半世紀この世界に居る。これが捨てがたい世界を持っていて,どこの地域に転居してもその地域の茶道社会に溶け込めば,忽ちにして知己が増える。一杯飲んだりしてもこうは行かない。孤独感が防止できること請け合いである。
 もう一つがマラソンである。この40年ほど毎朝5キロ〜7キロを軽く流す。前日の深酒も軽いジョギングで解消,夜の快眠に繋がっている。また,行き交う人々(早朝族)との挨拶の交換も自分の心の今日一日のいのちに活を入れてくれる重要な儀式。その後の朝風呂がなんとも得がたい楽しみである。
 次はビジネスマン時代に得たゴルフの楽しみである。これも40年もやっているが,とても上手くなったとは思えない。しかし,近隣の狭山ゴルフクラブに新たに入会し,全くフリーに,朝空を見上げてからプレーを申し込むスタイルで空いた日曜日に行うことにしている。よくしたもので,このようなスタイルのゴルフを実行している会員同士で組んでもらうと毎回ほぼ同じ様なメンバーとなり,ここにも知己が出来る。医師が会員の3割と言われており,実務上の効果もある。一日の内5時間,食事も一緒にするのだから,親しくなるのは当然で,クラブライフを楽しんでいる。
 残りの一つがフルートのお稽古である。高校生の頃,フルートに憧れ入手を希望したが,当時は親に楽器を買って欲しいとはとても言い出せなかった。男5人の兄弟の2番目では無理はなかった。こんにち,いわゆる親父買いで10年ほど前,銀フルートを購入,週一時間お稽古している。段々とこなす曲目が増えると,単に聴くだけと違って音の中に入ってゆく感じが出てきて,自分を忘れる時間が出来る。最近は余禄で運営中の病院に於ける毎月のお誕生会で演奏することにしている。
 これら全てをこなしていると,毎日の時間が大変タイトである。しかし,人の輪を作り,当てにされ,多くの人との交流を継続することは、特に七十代の人間には欠かせない。その為には,常々標榜している「義理欠く,恥かく,情欠く」の“3かく”
を実践して楽になることはできずにいるが,健康である限り,この輪を維持し,この“3かく”を先に延ばすことが当面の使命と心得,毎日を過ごしている。



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