孫を育て,歴史を伝える
岡本 崇(京都府木津川市)
私は「伊藤忠商事」勤務時代に13回の引越しをし,63歳の秋,6度目のマイホームを建て,東京から21度目の引越しをして木津川市に来た。二人の孫と老母の面倒を見るため,娘夫妻が開院する京都市と,実家のある奈良県西吉野町の中間を選び,週に2回は片道60?離れた五條市へ通い,「西新子の柿畑」を数人の仲間と管理する事にした。実家の蔵にある古文書を読む目的で,「山城郷土資料館」の古文書教室にも入った。2年後に配布された学習教材の主人公,「お伝ちゃん」の浅田家の家系図を見て,我が家の両親が共に親戚となる事を知る。教室には浅田家の子孫も来ていたので驚く。その時精査したら,祖父の弟の嫁が,毎週通る葛城山麓の九品寺の近くから来ているのが判った。
寺に寄ると,「ほろほろと鳴く山鳥の声聞けば父かとぞ思う母かとぞ思う 行基」と書かれた看板があった。その後方の石碑の赤い文字が手掛かりとなって,東京在住の祖父の弟の子女の生存を知る。訪問すると大変喜んで頂き,岩崎弥太郎との関係や,今まで知らなかった我が家の情報を沢山頂いた。彼女は101歳だが,90歳からパソコンを始め,石碑の赤文字の80歳の女性にメールで俳句の指導をしている。私にも毎日メールをくれ,98歳で亡くなった実母に代わる第二の母となった。
大阪にある私の父の実家,大東家には40代に亘る家系図がある。各当主には母と祖母や,母方の祖父母も居るので,遡ると実に1兆人強の先祖が居る事に驚愕。
西吉野の岡本家は私の祖父の実家になるが,この家の過去帳は幕末から始まり10数代しか分からない。今は銀峰山の中腹まで降りて来ているが,昔は山頂に住んでいて,「西」と名乗っていた。この名前は,有田市や鹿児島県に多い。山頂の「西の峠」は,伊勢と紀州&熊野と飛鳥を結ぶ間道の交点にあり,天誅組が本陣を置いた波宝神社の峰続きの庄屋山には,「海神神社」が祀られている。「志賀直哉全集」では「不詳」とされていた「平井老人」が,この峠に住んでいた事を私が初めて立証した。この地の歴史を残すために,「中山忠光卿の証文」「裕心義仙や比丘叡弁の書」「銀峰鉱山の図面」等を「賀名生の里歴史民俗資料館」に寄託した。
高崎経済大学時代の恩師,「難波田春夫先生・ゼミ回顧録50年史」も,仲間達と作成中である。70代になると,時間的にも余裕が出るのだから,孫を育てながら古文書などを解読・整理して,歴史を子孫に伝えていきたい。
岡本 崇(京都府木津川市)
私は「伊藤忠商事」勤務時代に13回の引越しをし,63歳の秋,6度目のマイホームを建て,東京から21度目の引越しをして木津川市に来た。二人の孫と老母の面倒を見るため,娘夫妻が開院する京都市と,実家のある奈良県西吉野町の中間を選び,週に2回は片道60?離れた五條市へ通い,「西新子の柿畑」を数人の仲間と管理する事にした。実家の蔵にある古文書を読む目的で,「山城郷土資料館」の古文書教室にも入った。2年後に配布された学習教材の主人公,「お伝ちゃん」の浅田家の家系図を見て,我が家の両親が共に親戚となる事を知る。教室には浅田家の子孫も来ていたので驚く。その時精査したら,祖父の弟の嫁が,毎週通る葛城山麓の九品寺の近くから来ているのが判った。
寺に寄ると,「ほろほろと鳴く山鳥の声聞けば父かとぞ思う母かとぞ思う 行基」と書かれた看板があった。その後方の石碑の赤い文字が手掛かりとなって,東京在住の祖父の弟の子女の生存を知る。訪問すると大変喜んで頂き,岩崎弥太郎との関係や,今まで知らなかった我が家の情報を沢山頂いた。彼女は101歳だが,90歳からパソコンを始め,石碑の赤文字の80歳の女性にメールで俳句の指導をしている。私にも毎日メールをくれ,98歳で亡くなった実母に代わる第二の母となった。
大阪にある私の父の実家,大東家には40代に亘る家系図がある。各当主には母と祖母や,母方の祖父母も居るので,遡ると実に1兆人強の先祖が居る事に驚愕。
西吉野の岡本家は私の祖父の実家になるが,この家の過去帳は幕末から始まり10数代しか分からない。今は銀峰山の中腹まで降りて来ているが,昔は山頂に住んでいて,「西」と名乗っていた。この名前は,有田市や鹿児島県に多い。山頂の「西の峠」は,伊勢と紀州&熊野と飛鳥を結ぶ間道の交点にあり,天誅組が本陣を置いた波宝神社の峰続きの庄屋山には,「海神神社」が祀られている。「志賀直哉全集」では「不詳」とされていた「平井老人」が,この峠に住んでいた事を私が初めて立証した。この地の歴史を残すために,「中山忠光卿の証文」「裕心義仙や比丘叡弁の書」「銀峰鉱山の図面」等を「賀名生の里歴史民俗資料館」に寄託した。
高崎経済大学時代の恩師,「難波田春夫先生・ゼミ回顧録50年史」も,仲間達と作成中である。70代になると,時間的にも余裕が出るのだから,孫を育てながら古文書などを解読・整理して,歴史を子孫に伝えていきたい。
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