有限会社 三九出版 - 復 興 を 願 う


















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 ☆特別企画☆東日本大震災    復 興 を 願 う

                           
                            山口 康弘(大阪府大阪市)

 もう二年近くの月日が流れたのか……。
 三月十一日。あの日ブラウン管の向こうに,信じられない光景が映し出されていた。
 人,町,建物が,ひとたまりもなくのみ込まれていく。猛威をふるう自然の前になす術もない。かけがえのない命が,延々と紡がれてきた暮らしや繋がりが,突然に寸断される。
 突きつけてくるその無残な光景に茫然となった。
 たまらないニュースは,その後も続々と届いた。
 避難していた学校の窓から流されていったという子供たち。住民に避難を呼びかけながら波に浚われた職員。引き裂かれた親と子の手と手……。
 取り返しのつかない現実。
 亡くなられた人たちの無念,残された人の喪失感は想像もできない。

 当時の私は,ようやく大病から生還し,心弾ませ桜の開花を待ちわびていた。
 しかし,あの絶対的な不条理を目にして以降,どこか負い目に似た感情と,無力な空しさが消えることがない。
生も死も,幸も不幸も,偶然の産物に過ぎないのだろう……。しかし,あまりにも不条理だ。
 今も避難所や仮設住宅で不便な暮らしを強いられている人たちがいる。
 故郷を追われ,散り散りにされたままの人たち。
 除染も進まず,外に出て遊べない子供たち。
 そんな過酷な状況の中で必死に頑張っておられる人たちに,かけてあげられる言葉が見つからない。ただただ,その健康を願う。

 宮沢賢治や井上ひさしが大好きで,学生時代,毎夏のように,寝袋をかつぎ東北の地を旅した。
 旅の中で色んな人のお世話になった。



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