有限会社 三九出版 - 三陸の広報マンの言葉


















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 ☆特別企画☆東日本大震災     三陸の広報マンの言葉

                           安田 公彦(岡山県倉敷市)

 昨年の3月11日,マグニチュード9.0という未曾有の大地震が東北・東日本を襲い,この地震によって発生した大津波により約2万人に達する尊い人命が奪われたほか,家屋等の流出など建築物の全壊や半壊は合わせて39万戸以上と,津波災害では我が国で史上最悪と言われるほどの甚大な被害を受けました。 この地震・ 津波により,ご家族や身内を亡くされた方,また,家屋の損壊等被害を受けられた方々に対しまして,心からお見舞い申し上げます。
 この大津波で思い出されるのが,約20年前,平成3年11月に新潟市で開かれた全国広聴広報研究大会(市町村職員を対象とした広報紙の編集実務等の研修会。この年は,6月3日に雲仙普賢岳で火砕流が発生し,災害に対する広報がテーマの一つでした)で出会った三陸の広報マンの言葉です。
 「うちの村は,約100年前の明治三陸地震の大津波で,村民の半分以上が亡くなった。自分の曽祖父母の親族など,多くの人が死んだ。村の人は,ほとんどの人が津波の被災者(死者)を身内に持っている。 だから,津波の怖さを忘れてはいけないんだ。津波の怖さを語り継いで,少しでも被害に遭う人を少なくしたい。そのために,うちの村では広報紙で年1回『津波対策の特集号』を組んでいる。地震があったらすぐに高台に逃げることなどを繰り返し周知,啓発している」というSさん。その真剣な言葉に,津波の怖さと災害対策の広報の重要性を改めて再認識するとともに,倉敷市で広報業務を担当していた自分自身がSさんから「パワー」をいただきました。
 東日本大震災の後,東南海大地震などで震度・被害想定の見直しが行われております。一番のポイントは震源域がピンポイントから長距離の連続性と東海・南海の複合地震の可能性です。二つ目は長距離と複合型のため想定震度が大きくなり,津波の到達高度も非常に高くなったことです。倉敷地域は比較的災害の少ない地域ですが,最近は台風や大雨,高潮による浸水もあり,更には東南海地震のハザードマップ(浸水予想地図)によると,我が家なども海岸から20キロも離れていますが,浸水区域1mと記されております。もしもの時,被害を最小限に食い止めるよう,日頃から備えや行動をしなければと,Sさんの言葉を今回の大震災に重ねながら,思うこの頃です。
 東日本大震災から1年半,一日も早く復興し,生まれ変わることを祈っています。

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