《自由広場》
日本国憲法を再読しよう
吉岡昌昭(埼玉県さいたま市)
近頃、新聞やテレビは嫌なことばかりである。最近では12月16日付読売新聞朝刊第一面に、15日に開かれた小沢一郎氏資金管理団体「陸山会」政治資金規正法違反の第9回公判の内容が報道されていた。驚いたのは,陸山会元事務担当現衆議院議員石川智裕氏(一審で有罪、控訴中)を、事情聴取した特捜部田代政弘検事(現新潟地検検事)が、この日証人として尋問を受けたのだが、田代検事は石川氏が述べていないことを捜査報告書に記載していたことが分かった。石川氏は昨年(H.22)1月に逮捕され、田代検事に取調べを受けた時、問題の政治資金収支報告書には小沢氏の了承を得て虚偽の記入をしたという供述書に署名をし、かつ同年5月の再聴取の時も同様の内容に署名をしている。
さて、東京地裁は陸山会事件について、さる9月26日、石川智裕衆議院議員の他後任の池田氏、元会計責任者大久保氏等三人に有罪の判決をだした。驚いたのは、裁判官は、検察が提出した「供述書は信頼出来ないが、状況から推理すると有罪と推認出来る」としたことである。つまり、裁判所は検察が提示した証拠を採用せず、俺(判事)が見たところお前たちはクロだ、としたのである。この有罪判決は今後小沢裁判に大きく影響すると言われているが、有罪となった石川衆議院議員を取り調べた検事が、報告書に虚偽の記載をしていたということを証人尋問で述べたことで事情は変わるだろう。それにしても、虚偽記載をした田代検事の釈明が「調査報告書は数日かけて思い出しながら書いてから、拘留中のやり取りなどと記憶が混同したのであって、虚偽ではない」というのだが、検察官の弁明として許されるだろうか? この日の法廷では、当時大阪地検特捜部検事で陸山会事件の捜査に大阪から東京へ応援にきていた前田元検事(厚労省村木局長冤罪事件で証拠隠滅の罪で1年6月の実刑判決、現在服役中)が、証人として当時の東京特捜部での取り調べ方や、部内の雰囲気を語った。前田元検事の話では、特捜部内でいくら頑張っても小沢氏有罪の証拠は出て来ず、小沢氏の裏金問題は部内ではシロという判断だったという。では、検察は何か特別な意図をもって小沢氏、陸山会を追っていたのだろうか? 私は、普通の正義感から出たものと思う。ところがやっていくうちに、いつしかクロだと思い込むようになってしまい、立件しなければのムードになったのだろう。裁判所は犯罪事実についての認定を行うのだが、それには犯罪を裏付ける「証拠」が必要である。しかし、決定的な証拠はない。結局、特捜部は公判を維持できないとして、不起訴にした。本来は、ここでピリオドのはずだったが、メディアはそれを許さなかった。厚労省の村木局長も、小沢・陸山会事件の関係者も司法による追求で多くの時間的拘束を受け名誉を傷つけられ、小沢氏に至っては政治活動もままならないという状態である。原因は何処にあるのか? 結局、国民一人一人がしっかりしなくてはならないということであろう。
憲法はいろいろな形で人権を保障しているが、特に97条を置き日本国民の「…基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、…」侵すことの出来ない永久の権利、としている。人権と一言でいうが、今日、新聞やテレビを見れば分かる様に、国家(つまり法を運営する政治家、役人)や大企業の独断による国民の権利侵害を考えれば国民はうかうかしていられない。我々は長い間いろいろな形で人権を無視され、その結果、戦争、国土焼失、幾多の悲劇、苦難を味わった結果、昭和20年8月15日の敗戦、無条件降伏によって現在の憲法を得たのである。自由には、個人が本来的に持つ何人にも侵されない所謂信教の自由、表現、学問の自由等々があるが、これらも国家の意思により(法律を作ることによって)いと簡単に制限されてしまう。基本的に組織・体制からの自由無くして心の自由もあり得ない。国家はその名において何時でも強権を発動し、謂われなき罪を国民に負わせることも可能であり、法の運用如何ではいくらでも個人の自由を制約できる。直近の例で、厚生労働省の村木局長冤罪事件、小沢「陸山会」事件などがある。憲法99条は、特別に「…、国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」としている。裁判官、検察官は法の番人であり憲法の精神を十分に理解しており、その他の法律も人権を保障するように定めていることを熟知しているはずである。しかし、それだけでは十分ではない。我々国民が、公務員が憲法の精神をきちんと守るよう注視していなくてはならない。司法は我々の人権を保障してくれる最後の砦である。そこでおかしな起訴や裁判が行われることのないように国民はしっかり見ていないといけない。
憲法は9条だけではない。是非、再読して頂きたい。
日本国憲法を再読しよう
吉岡昌昭(埼玉県さいたま市)
近頃、新聞やテレビは嫌なことばかりである。最近では12月16日付読売新聞朝刊第一面に、15日に開かれた小沢一郎氏資金管理団体「陸山会」政治資金規正法違反の第9回公判の内容が報道されていた。驚いたのは,陸山会元事務担当現衆議院議員石川智裕氏(一審で有罪、控訴中)を、事情聴取した特捜部田代政弘検事(現新潟地検検事)が、この日証人として尋問を受けたのだが、田代検事は石川氏が述べていないことを捜査報告書に記載していたことが分かった。石川氏は昨年(H.22)1月に逮捕され、田代検事に取調べを受けた時、問題の政治資金収支報告書には小沢氏の了承を得て虚偽の記入をしたという供述書に署名をし、かつ同年5月の再聴取の時も同様の内容に署名をしている。
さて、東京地裁は陸山会事件について、さる9月26日、石川智裕衆議院議員の他後任の池田氏、元会計責任者大久保氏等三人に有罪の判決をだした。驚いたのは、裁判官は、検察が提出した「供述書は信頼出来ないが、状況から推理すると有罪と推認出来る」としたことである。つまり、裁判所は検察が提示した証拠を採用せず、俺(判事)が見たところお前たちはクロだ、としたのである。この有罪判決は今後小沢裁判に大きく影響すると言われているが、有罪となった石川衆議院議員を取り調べた検事が、報告書に虚偽の記載をしていたということを証人尋問で述べたことで事情は変わるだろう。それにしても、虚偽記載をした田代検事の釈明が「調査報告書は数日かけて思い出しながら書いてから、拘留中のやり取りなどと記憶が混同したのであって、虚偽ではない」というのだが、検察官の弁明として許されるだろうか? この日の法廷では、当時大阪地検特捜部検事で陸山会事件の捜査に大阪から東京へ応援にきていた前田元検事(厚労省村木局長冤罪事件で証拠隠滅の罪で1年6月の実刑判決、現在服役中)が、証人として当時の東京特捜部での取り調べ方や、部内の雰囲気を語った。前田元検事の話では、特捜部内でいくら頑張っても小沢氏有罪の証拠は出て来ず、小沢氏の裏金問題は部内ではシロという判断だったという。では、検察は何か特別な意図をもって小沢氏、陸山会を追っていたのだろうか? 私は、普通の正義感から出たものと思う。ところがやっていくうちに、いつしかクロだと思い込むようになってしまい、立件しなければのムードになったのだろう。裁判所は犯罪事実についての認定を行うのだが、それには犯罪を裏付ける「証拠」が必要である。しかし、決定的な証拠はない。結局、特捜部は公判を維持できないとして、不起訴にした。本来は、ここでピリオドのはずだったが、メディアはそれを許さなかった。厚労省の村木局長も、小沢・陸山会事件の関係者も司法による追求で多くの時間的拘束を受け名誉を傷つけられ、小沢氏に至っては政治活動もままならないという状態である。原因は何処にあるのか? 結局、国民一人一人がしっかりしなくてはならないということであろう。
憲法はいろいろな形で人権を保障しているが、特に97条を置き日本国民の「…基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、…」侵すことの出来ない永久の権利、としている。人権と一言でいうが、今日、新聞やテレビを見れば分かる様に、国家(つまり法を運営する政治家、役人)や大企業の独断による国民の権利侵害を考えれば国民はうかうかしていられない。我々は長い間いろいろな形で人権を無視され、その結果、戦争、国土焼失、幾多の悲劇、苦難を味わった結果、昭和20年8月15日の敗戦、無条件降伏によって現在の憲法を得たのである。自由には、個人が本来的に持つ何人にも侵されない所謂信教の自由、表現、学問の自由等々があるが、これらも国家の意思により(法律を作ることによって)いと簡単に制限されてしまう。基本的に組織・体制からの自由無くして心の自由もあり得ない。国家はその名において何時でも強権を発動し、謂われなき罪を国民に負わせることも可能であり、法の運用如何ではいくらでも個人の自由を制約できる。直近の例で、厚生労働省の村木局長冤罪事件、小沢「陸山会」事件などがある。憲法99条は、特別に「…、国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」としている。裁判官、検察官は法の番人であり憲法の精神を十分に理解しており、その他の法律も人権を保障するように定めていることを熟知しているはずである。しかし、それだけでは十分ではない。我々国民が、公務員が憲法の精神をきちんと守るよう注視していなくてはならない。司法は我々の人権を保障してくれる最後の砦である。そこでおかしな起訴や裁判が行われることのないように国民はしっかり見ていないといけない。
憲法は9条だけではない。是非、再読して頂きたい。
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